医療従事者が副業で失敗しないために必要な「線引き」とは?
患者対応の延長から脱却し、価値あるサービスを提供する方法
はじめに|お客様と患者様の違い
医療従事者が副業や起業を考えるとき、最初に直面するのが「患者」と「クライアント」の違いです。
たとえば、国家資格を持つ理学療法士や看護師が「オンラインヘルスコーチ」として事業を始めた場合、サービスをご利用になるクライアント・ご利用者様を「患者さん」として扱ってしまうと、医療とビジネスの境界が曖昧になり、付加価値が下がりやすくなります。要は、満足いただけない誤解やトラブルを招いてしまいます。
「クライアント・ご利用者様」は、自らサービスを選び、対価を支払う「自立された」存在です。
一方、病院や施設勤務のときに接している「患者さん」は、サービスの「お客様」ではありません。今すぐ誰でもいいからHelpを必要とされている方で、心理的・社会的に依存的な傾向を示しやすく、支援を必要とするフェーズにある“社会的弱者”に該当することが多いのです。つまり、「依存できるものを探しておられる状態」と言っていいでしょう。
依存的な立場を悪徳商法にしてしまわないために、私たち医療従事者は国家資格という最高位を与えられ、徹底した倫理観を学び、実践の中で身につけてきました。
ですが、この明確な違いを腑に落として行動できる方は、キャリアLabにお越しになる方たちの中では、実はほとんどいません。詳細に言うと0人です。だからこそ、こういった養成が必要なのです。初めからできていれば、キャリアLabは不要ですものね。
事業を始める医療従事者が直面する「線引き問題」
副業・起業を志す医療従事者のほぼ100%が、この「線引き問題」に直面します。
この問題を放置すると、自己犠牲や混乱を招きやすく、事業の持続が難しくなることもあります。
そこで今回は、そのメカニズムと解決策を丁寧に解説いたします。ご興味あれば幸いです。
対人援助の基本中の基本:人との距離の取り方について
対人援助を長く続けるには
「共に感じすぎない距離感」が欠かせません。
相手の苦しみや現実を自分のものにしてしまうと…
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燃え尽きてしまう
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専門性を発揮できなくなる
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私生活にも影響が出る
逆に、距離をとりすぎると「冷たい」「見放された」と感じさせてしまうこともあります。
これこそが、医療従事者として最初に学ぶ
🔑 対人援助の基本中の基本です。
いったん基本に立ち返って、「同感」と「共感」の違いを明確にしましょう。
✔ 同感 vs 共感
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同感:相手と同じ感情になってしまう(→巻き込まれる)
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共感:相手の感情を理解しながら、自分は冷静でいられる(→専門性の維持)
同感で寄り添いすぎると、援助者側が疲弊してしまいます。
だからこそ、共感をベースに適切な距離感での支援が大切です。
📝 まとめ
持続可能な支援のためには、
「ただの顧客」「ただの症例」ではなく、
それでいて「人生を背負いすぎない」関わり方が必要です。
「依存傾向の方には届かない」問題
スラトレ®やメンタル思考トレーニングのような
🧘♀️ “自立型”トレーニングプログラムには、届きにくい層がいます。
例えば…
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日々の生活やお金に追われている方
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今すぐ誰でもいいから助けてほしいと感じている、依存的な状態の方
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思考や美学に価値を見出す余裕がないほど毎日がお辛い方
これらの方に届かないのは、提供側の力不足ではありません。
❗ 単に「対象層が違う」だけです。
この違いを理解せずに「全員に届けたい」と頑張ってしまうと、
ビジネスとしても援助者自身としても、持続が難しくなります。
💬 繰り返しますが、「今すぐ誰でもいいからHelpを求める」状態は
医療や福祉の領域です。
幸い、日本はそのインフラが整っている珍しい国のひとつ。
私たちは、その先の「自立」や「成長」を目指す層にフォーカスして良いのです。
スラトレ®が響く人は誰か? — 心の富裕層
では、誰に届けるべきなのか?
それが、心の富裕層です。
スラトレ®が自然と富裕層や未来の富裕層を惹きつけるのは…
✨ 「思考や美学に価値を感じる人にだけ響く設計」だから
響かない人に無理に合わせる必要はありません。
むしろ「届くべき人に深く届く」ことがブランドになります。
「美学に興味がない人には今は届かなくてもいい」というマインドセット
ビジネスで苦しくなる人に共通するのが、
「全員に届けないといけない」という無意識の義務感
でも、それは必要ありません。
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興味がない人には、今は届かなくてもいい
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いつか興味が出たときに来ていただけるよう、日々研鑽するだけ
これが、弊社がが大切にしている「あり方」です。
💭 自分の届けたい人は誰なのか?
その問いと向き合うことが、ビジネスの持続力につながります。
「すべての人に届かないといけない」と思うと、心が疲れ、事業の継続が難しくなるものです。多くの医療従事者起業家が、そこに苦しんできました。
医療とビジネスの目的の違いを明確に
ここで改めて整理しましょう。
🎯 目的の違い
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🏥 医療の基本:全員の命を救いたい
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💼 ビジネスの基本:価値を理解できる人に届ける
この違いを明確に理解することが、
プロとしてのスタンス確立につながります。
そしてむしろ、
💡 理解できる人に深く届ける方が、社会的インパクトは大きい。
心の富裕層が増えれば、社会にも穏やかで優しい循環が生まれます。
医療の義務から一歩踏み出し、ビジネスと美学に重きを置いた領域に移行していきましょう。
サービス提供スタンスの指針
距離感は、援助の質を決める最重要ポイントの一つ。
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近すぎると巻き込まれる
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遠すぎると冷たくなる
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✅ 伴走はするが、人生を背負うのは本人
このスタンスは、国際的には“プロフェッショナルの距離感”として標準です。
けれども日本では、
「おんぶにだっこ」「全部やってくれる」「依存させてくれる」
といったサービスが好まれる傾向が強く、
このプロ的な距離感が“冷たい”と誤解されがちです。
たとえば、、よく見かけませんか?
「○○円で全部やります」「ここに任せれば大丈夫」的な広告。
それが、もしパソコンの技術的なサービスならまだしも、
人間のメンタルや幸福といった領域においては…
💰 1000円払って自己肯定感が手に入る
そんな単純な話ではありませんよね。
日本的サービス文化と国際基準のギャップ
ここからは少し文化的背景を見てみましょう。
🇯🇵 日本的な特徴
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「お客様は神様」文化が根強い
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受け身型のサービスが当たり前
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学校や病院で「言われた通りにする」受動的習慣が染みついている
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「すぐ効く」「やってもらう」型が好まれる(例:サプリ・整体・ダイエット)
そのため、
🌀 主体性が求められるプログラムは“冷たい”と誤解されやすい
という現象が起こります。
海外(欧米)のスタンダードと誠実さとは?
コーチング・セラピー市場の本場はやはり欧米になります。
欧米のスタンダードでは?
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クライアント主体・自己決定の尊重が基本
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「背負うのは本人」こそが誠実さとされる
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援助者のスタンスがブレないほど、評価が高い
つまり、文化によってサービスの「当たり前」は全く違うのです。この観点を知ることは、私たちが診療や副業を超えて提供価値を磨く上で、重要な視座となります。
💡 だからこそ、日本で本質的なサービスを提供したいなら…
「依存を断ち切るスタイル」=冷たい
という誤解を怖がらず、丁寧に伝える力が必要になります。
打開策:怖がらずに逆にもっと勉強しよう!そのためにキャリアlabがあります
線引きができたら、あとは実践的な工夫へ。
完全に方向転換する必要はありません。
むしろ、あなたの哲学を守ったまま伝え方を磨くだけで大丈夫です。
✔ 依存型を最初から避ける
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サービス紹介文に「背負わないスタンス」を明記
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相性の合わない層をあえて遠ざけることで、摩擦を防ぐ
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医療や福祉の利用を勧めるメッセージも併記する
✔ 段階的導入で関わりやすく
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いきなり「人生変えてください」は重たい
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「体験セッション」「小さな伴走」など、気軽に触れられる導線を用意する
✔ 美学を求める層に特化
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🎯 富裕層、未来の富裕層
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💎 美学・哲学に価値を感じられる感性層
そういった層に向けて、深く・丁寧に届ける設計へ。
医療とビジネス、二本立ての役割
皆さんには、二つの立場があります。
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医療者として → 「誰にでも最低限のケアを提供」
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トレーナー/コーチとして → 「理解できる人にだけ、深い美学を提供」
この二本立てを意識すると、スタンスが明確になり、
「どこまでやるべきか」に悩まなくなります。
最後に ― 哲学を守ることがブランド力になる
最後にもう一度、大切なことをお伝えします。
たとえ最初の売上がゼロだったとしても、
スタンスを変えて「依存型サービス」に合わせてしまえば…
🚫 あなたのビジネスが大切にしてきた哲学は失われてしまいます。
むしろ、
「理解できる人にしか届かない哲学」と割り切ることが、ブランド力を高める近道です。
- 「症状だけを消せば解決」では、本質(価値観・生活背景のズレ)には届きません。
- 「病気や怪我、誰かや何かを悪者にすれば、一時的に楽にはなる」かもしれませんが、根本解決ではありません。
たとえば、弊社のメイン事業であるスラトレ®が大切にしてきた哲学は、
「短絡的な答えに飛びつかず、根本を見よ」
という姿勢そのものです。
あなたの事業にも、あなたなりの哲学があるはずです。
それを守りながら、プロとして線引きをし、距離感を大切にすることで
🏆 持続可能で深い価値を届けられる存在になっていけるのだと思います。